Nゲージ用自動閉塞装置

市販リレーで作るNゲージ用単線自動閉塞装置と、フォトIC式車両検知センサの製作

概要

市販のリレーだけでNゲージ用の単線自動閉塞(特殊)を組む連動装置と、それに連動する車両検知センサの製作記録です。目標は本物の信号所と同じ「リレーでロジックを組む」こと。

単線自動閉塞装置

使用リレー

  • 線条リレー:秋月電子通商の中国製4回路C接点リレー 952-4C-12D(OMRON MYリレー互換、12V品はNゲージの電源電圧に合わせて選定)
  • 運転方向表示リレー(DFKR/UFKR):有極リレーが本来だが、ここは線条リレーで代用
  • 運転方向リレー用の磁気保持リレー:OMRON純正品は定価6000円かつ2回路C接点までしかないため、比較的安価な1巻線ラッチング形のG6SU-2 DC12V(1個588円)を採用

接点数は本来4C欲しいところを2C並列で妥協するなど、模型用として割り切った設計にしています。

単線自動閉塞(特殊)結線図

配線は基本的に標準結線図通り。C接点(振り分け接点)を使用し、余った接点は今後の拡張(反応リレーの実装)に残しています。

市販のリレーで組んだ自動閉塞装置

片駅側でリレー6個を使用。中央のロータリースイッチが方向てこ、右側が運転方向リレー基板です。

トラブル:謎の発振

運転方向てこを操作して8FLR(運転方向鎖錠リレー)が開放された瞬間、全リレーが短周期でON/OFFを繰り返す発振状態が発生。オシロスコープで確認したところ、8FLR開放の瞬間に約190Vの大きな逆起電力が発生していました。

原因は消費電力900mWの線条リレー(952-4C-12D)と、並列に接続された高感度・低消費電力(100mW)の磁気保持リレー(G6S)の組み合わせ。線条リレーのコイルに蓄積されたエネルギーが電流遮断時にレンツの法則で逆方向電圧として放出され、磁気保持リレーを不正転換させていました。

対策:逆起電力吸収回路

FLR(運転方向鎖錠リレー)は双方向に電流が流れるため単純なダイオード1本では吸収できず、検討の末に定番の1N4007(耐圧1000V)を使った吸収回路を構成。8FLRが反位の時だけ考慮すればよい点を利用し、D1〜D3の役割分担で対策しました。

しかし波形を測定すると、吸収回路側のリレーの復旧が早すぎて逆起電力を吸収しきれないことが判明。そこで220µF/25Vのコンデンサを並列に追加し、リレーにさらなる緩放性を持たせています(コイル抵抗1440Ωに対し時定数316ms、狙いの遅延2msに対して十分な余裕)。

逆起電力吸収回路(最終版)

最終回路で波形観測したところ、逆起電力の発生は完全になくなりました。

逆起電力吸収回路(最終)の波形

コラム:中継コネクタ

機器間の中継用に、入手性が良く手持ちの圧着工具(PA-09)が使えるコネクタを検討し、千石電商でmolexの5051/5240シリーズを購入。5240シリーズ(レセプタクル側)のコンタクトはPA-09対応の記載がなかったものの、サイズが同じだったため圧着したところ問題なく使用できました。

車両検知装置

検知方式の選定

ARC(自動進路制御)に向けて接近検知が必要ですが、実物の軌道回路は模型では現実的でないため、ピンポイント検出方式を採用。TOMIXのセンサは接触不良が多く確実性に欠けるため自作することにしました。

リードスイッチは車両床下への磁石設置が面倒、CdSは外部光源が必要で環境依存しやすいという課題があり、最終的に赤外線LEDを変調して外乱を防ぐ光変調式フォトICを選定しています。

  • フォトIC:浜松ホトニクス製 S7136(光変調型、オープンコレクタ出力、外乱対策2000lx)
  • 赤外線LED:OSI5LAS1C1A(OptoSupply)。850nmピークだが940nmでも80%感度があり指向性の良い形状を選定
  • 基板サイズ:TOMIXのレールに組み込めるよう7mm×11mm
車両検知回路図

出力はオープンコレクタ、許容損失250mW。12Vでコイル電流20mA以下のリレーなら直接駆動も可能な設計です。

車両検知PCBアートワーク

実験結果

蛍光灯直下でまずまずの検知性能を確認。なお実装時にコネクタの向きを間違えて部品面側に配置するミスがあり、要修正点として記録しています。